1974年、親父28歳。
2004年、俺、28歳。
30年前の新聞を、俺は見た。
記事は言う。
1億1千万人目の日本国民がその日、生まれたらしい。
産んだ母は語る。
「こんな時代だからこそ、強く育って欲しい」。
どんな時代か、俺は眺める。
人口爆発、食糧難、物価高、公害問題。政界汚職に子供の犯罪。
…、これはいつの新聞だ?
世の中果たして、変わったのか変わらないのか。
そしてこのころ、今の俺と同じ歳だった親父は一体、何を考えて生きていたのか。
思いを馳せる暇はない。
俺には今、目の前しか見えていない。